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2015年11月
スカルブスネス再び、VLBI観測実験、ペンギンセンサス、長頭山

Report:Tomoyuki Fujisawa

場所:昭和基地

第56次隊の藤澤 友之氏が、昭和基地から現地の様子をレポートしてくれました。

藤澤氏レポート

スカルブスネス再び

11月3日より2泊3日でGPSの設置・回収作業の為、スカルブスネス野外作業に参加してきました。
今回の作業はスカルブスネスへの海氷上にあるルート上にGPSを往路で設置し、復路で回収するというものでした。
移動ルートは出来上がっていたので作業や昼食の休憩を除いてひたすら雪上車で移動しましたが、約60kmの距離を8時間程かかりました。

海氷上に設置されたGPS。

海氷上に設置されたGPS。


今回はペンギンのルッカリー(ペンギンが集まって産卵や子育てをしている場所)で、沢山のアデリーペンギンが歩いているのを見かけました。
先月基地で見かけたアデリーペンギンもどこかのルッカリへ向かう途中だったのでしょうか。

雪上車の轍を歩くペンギン。
雪上車を見ても気にせず歩いて来ます。


雪上車の轍を歩くペンギン。雪上車を見ても気にせず歩いて来ます。

こちらが止まって待っていると、向うもじっとこちらを見ています。


こちらが止まって待っていると、向うもじっとこちらを見ています。

スカルブスネス観測小屋の裏手にある丘を登ったところの景色。
正面にあるのが9月のレポートでご紹介したシェッゲです。


スカルブスネス観測小屋の裏手にある丘を登ったところの景色。正面にあるのが9月のレポートでご紹介したシェッゲです。

VLBI観測実験

56次隊では最後となるVLBI観測を実施しました。
24時間連続観測を1回。その翌週24時間連続観測を続けて2回計48時間行いました。
VLBI観測実験では観測が開始されるといくつもの星を次々と連続で捕捉して行きます。
その数は24時間の観測で約140から150回。ひとつの星の受信時間も次の星の受信開始までのインターバルも様々なので、スケジュール表で毎回チェックしながら絶えず装置の前に居なくてはいけません。今回はブリザードの襲来も無かったので他の部門を担当する隊員が沢山支援に駆け付けてくれました。
5月のレポートで紹介したデータ解析を行う観測隊員とアンテナ担当の私は観測を行う衛星受信棟を離れることができないので、支援に来て貰った隊員が代わりにチェックをしてくれる間にひとりは食事をしたり衛星受信棟内にあるベッドで仮眠を取ったりします。
長時間の観測を二人だけで乗り切ることはできないので仲間の協力に感謝をしています。

支援に駆け付けてくれたオーロラ観測を担当する隊員。

支援に駆け付けてくれたオーロラ観測を担当する隊員。


ペンギンセンサス

11月15日にペンギンのルッカリーでアデリーペンギンの数を数える、ペンギンセンサスに参加してきました。
今回訪れたルッカリーは、ルンパ島という昭和基地近辺では毎年最大の個体数が居る場所です。
規模の小さなところは手動のカウンターを使い目視で数をカウントし、規模の大きなところは写真を撮影して数をカウントします。

規模の小さなルッカリー。これで60羽から70羽くらいでした。


規模の小さなルッカリー。これで60羽から70羽くらいでした。

規模の大きなルッカリー。
数える為の写真はもう少し高いところから全体が写るように撮ります。


規模の大きなルッカリー。数える為の写真はもう少し高いところから全体が写るように撮ります。

抱卵するアデリーペンギン。
産卵のピークは11月19日頃ということで
まだ卵を温めているペンギンは少なかったです。


抱卵するアデリーペンギン。産卵のピークは11月19日頃ということでまだ卵を温めているペンギンは少なかったです。

長頭山

ラングホブデにある長頭山という山に登りに行ってきました。
今回は何かの作業では無く、遠足という形で希望者が参加しました。
この山は昭和基地のある東オングル島からも天気の良い日には見えます。
山の麓に雪上車で上陸し、そこから徒歩で山頂を目指します。標高は378mとシェッゲより少し低いくらいで、登頂まで3時間程掛かりました。
山頂からは周りの色々なものが見下ろせる絶景が待っていました。

東オングル島から見た長頭山。写真は3月に撮影したもの。


東オングル島から見た長頭山。写真は3月に撮影したもの。

上陸ポイントの近くにいたアザラシ。


上陸ポイントの近くにいたアザラシ。

長頭山の山肌。
ここも氷河に削られてアルファベットの逆Jの字のような形をしている。


長頭山の山肌。ここも氷河に削られてアルファベットの逆Jの字のような形をしている。

山頂からの眺望。
青いところは、表面の雪が吹き飛ばされて凍った海水が露出した裸氷。

山頂からの眺望。青いところは、表面の雪が吹き飛ばされて凍った海水が露出した裸氷。