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2022年11月
南極越冬隊64次隊 井上誠氏 出発直前インタビュー

心境

Q いよいよ出発を迎えますが、今のお気持ちはいかがですか?
A

やっと南極に行くことができる!という、うれしい気持ちでいっぱいです。幼少期に、地球儀で見た“下の方にある白くて大きな大陸”に好奇心を掻き立てられ、ずっと憧れを持っていました。NECネッツエスアイに入社を決めたのも、南極に関する取り組みを知り、南極に行けるかもしれない!と考えたからです。南極に行くには社内選考を通る必要がありますが、実は1度選考落ちしており、2度目の挑戦で念願の越冬隊員になることができました。こうした経験もあって、南極に行くことが決まったときは感無量でした。

Q 周囲の方からどのような言葉をかけられましたか?
A

私が南極に行きたい!ということを知っていましたので、家族や友人、同僚もみんな、心の底から喜んでくれました。妻は喜んでくれるとともに、理解も示してくれています。生まれたばかりの子どももおり、負担をかけてしまうことがとても心苦しいですが、家族の協力に感謝して、精一杯頑張っていきたいと思います。また、上司や同僚、部下も暖かく送り出してくれましたし、入社時から南極のことで相談に乗っていただいた先輩【現在、63次隊の光野隊員とともに越冬中の田村隊員(57次隊としても参加)】に報告したときは泣いて喜んでくれて、南極での再会を約束しました。周囲の人の期待に応え、しっかり結果を出していきたいと思います。

親族からのメッセージ集のプレゼント

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南極での仕事・生活について

Q 南極ではどのようなお仕事をするのですか?
A

VLBI(超長基線電波干渉法、注1)観測に使用する、多目的衛星受信システムとアンテナ、それを囲うレドームの運用・保守を行います。プレート運動や地球の自転速度などの観測に欠かせない設備ですが、アンテナは口径が11m、レドームの高さは17mと非常に巨大です。そのため、保守などを行う際は高所作業となり、危険が伴います。ドローンの操作技術や今までの経験などを活かして、安全に作業を行っていきたいと思います。
加えて、昭和基地のスマート化を目指したローカル5Gの実証実験(注2)に関する作業も重要なミッションの一つです。昭和基地における作業担当者として、しっかり取り組んでまいります。

(注1)VLBI(Very Long Baseline Interferometry)
数十億光年の彼方にある電波天体からの電波を、地球上の複数地点で受信し、到達時刻の差から宇宙を基準相互の位置関係を宇宙を基準に割り出す技術。

(注2)南極域で初!昭和基地でローカル5G実証実験を実施

多目的アンテナ【画像提供:国立極地研究所】

多目的アンテナ【画像提供:国立極地研究所】


Q 南極でやってみたいことや楽しみなことを教えてください!
A

楽しみなことは、国立極地研究所が実施している「南極教室」(注3)です。これは、昭和基地と日本の学校をZoomでつなぎ、隊員が先生となって南極についての特別授業を行う企画です。私は、来春から長女が通う予定の小学校で遠隔授業を行う予定です。自身の働いている姿をこのように見せられるのはとても嬉しいという感情もありますが、南極に興味を持ってもらえるように、現地の写真や映像をたくさん見せて良い学びの場に出来ればと思っています。
また、今年も日本から直接「南極観測船『しらせ』」で南極に向かうので(2019年までは飛行機でオーストラリアに向かい、そこで『しらせ』に乗船していました)、重さに関する実験を行う予定です。重さ(重量)は、赤道上では最も軽く、極地では最も重いとされているため、いくつか試してみようと思います。結果は「南極教室」や、帰国後に「南極くらぶ」(注4)で伝えていければと考えています。

(注3)「南極教室」new window南極中継 国立極地研究所

(注4)「南極くらぶ」次世代の人づくりへの貢献

抱負・決意

Q 抱負を教えてください!
A

代々、先輩方が受け継いできた歴史あるミッションを丁寧に遂行し、しっかり次につなげていきたいと思っています。NECグループの代表として、一層気を引き締め、南極での観測事業に取り組んでいきます!

Q 最後に、このサイトを見てくれている皆さんに一言お願いします!
A

南極の魅力を伝えられるよう、このサイトで様々なレポートを発信していきます。レポートが自然環境を考えるきっかけにもなれればと思っておりますし、こうした発信を通してNECネッツエスアイという会社にも興味を持っていただきたいので、ぜひ多くの方に見ていただけると嬉しいです。