Stadium Solutions
国立競技場向け
リボンボード
設置工事
プロジェクト概要
工事場所 | 国立競技場 |
---|---|
工事内容 | リボンボード新設工事 |
プロジェクトの特長 |
|
Introduction
大規模スタジアム
の改革という
新規事業への挑戦。
競技・イベントなどで大勢の人を収容する大規模スタジアムやアリーナ施設。
そこに設置されるディスプレイスクリーンは、従来は独立した単体のものが主流だった。
NECネッツエスアイもまた、LED表示板や照明機器をはじめとした設備・システムの導入実績は豊富だ。
一方でスポーツ庁が掲げる「スタジアム・アリーナ改革」では、施設が持つ従来の機能に加え、
人々の交流拠点としての役割を果たす改革が求められていた。
集客力や施設価値の向上に寄与し、地域貢献を果たすために、NECネッツエスアイは新たな挑戦に踏み出す。
国内初・最大級の「360°全周型」ディスプレイで、
新たな価値の創出と市場優位性の獲得を目指す。
また、このプロジェクトはNECネッツエスアイにとってもう1つの大きな意義があった。スタジアム・アリーナ市場には競合が少なく、新たに参入する際のハードルも高い。この機会に実績を残すことで、市場の優位性を獲得するという大きな狙いがあったのだ。このビッグプロジェクトで成功を収めるべく、「社会・環境ソリューション事業本部」を中心に社内の各事業部メンバーがタッグを組んだ。
Business Flow
プロジェクトの
一連の流れ

Members
担当者と
それぞれの役割
営業職
流通・サービスソリューション
営業本部
H.W.
提案準備から始まり、
受注後は現場代理人として
全体の設計・管理を担う。
流通・サービスソリューション
営業本部
H.W.
お客様との折衝をはじめ、
現場作業が円滑に進むよう裏方でサポート。
世界的スポーツイベントのメイン会場である国立競技場のなかでも、多くの人の目に触れるディスプレイ。640mにわたる全周型リボンボードは国内初・最大級ということで、当社にとっても経験のない工事になりましたが、絶対に成功させようという意識で臨みました。
私は主に入札後の仕様変更の調整、追加費用の折衝、スケジュール調整のフェーズを担当しました。元請けであるNECに出向する形で、お客様と直接折衝して仕様やスケジュールの調整などを行なったのがメインの役割でした。受注後は、現場で施工を担当するゼネコンとの各種調整にも取り組みました。
今回のプロジェクトでは、当社の施工能力・調整能力の高さを改めて実感しました。640mの全周にLEDパネルを約2〜3㎜の間隔で500枚程設置する過程で、手戻り作業なく最後の1枚までぴったりと合わせる施工を実施できたのは、当社の優れた技術力があってこそだと思います。
何もないところから競技場が出来上がり、リボンボードが設置される様子を生で見ることができて嬉しく思います。イベント中継でリボンボードの映像が全世界に放映された時に、この大仕事を無事に終えることができたのだと達成感を感じました。
施設・建設エンジニア
社会・環境ソリューション事業本部
S.I.
提案準備から始まり、
受注後は監理技術者として
全体の設計・監理システム構築を担う。
社会・環境ソリューション事業本部
S.I.
高度な設計・施工を完遂した背景に、
ハイレベルな技術力と人材育成文化。
プロジェクトの全体設計・管理から、システムの詳細設計、工事設計や施工計画、施工管理、試験まで、責任者として携わりました。
本件の一番の懸念事項は、リボンボードの設置精度。世界的に見てもここまで大規模な全周型ディスプレイは前例がなかったからです。システム面では、端から端までシームレスに画像を繋げる映像エンジンの選定と、その仕組みづくりに苦労しましたね。工事面でも、640mにも及ぶ長いLED表示機を高い精度で円形に設置する必要があり、非常に緻密な架台設計と精密な施工が要求されました。
しかし、初めの数台が設置されたところで「これなら大丈夫だ」と確信できました。なぜなら、M.K.さんの架台設計技術が想像以上に素晴らしかったからです。大規模な映像表示装置施工担当者としては、日本随一と言っても過言ではないでしょう。こうした人材を育て上げた先輩たちが持つ技術レベルと意識の高さに、改めて尊敬の思いを抱きました。受注した時には、あまりに影響力のあるプロジェクトだけにプレッシャーも感じていました。それだけに、完遂できた時には言いようのない喜びと達成感が。家族からも珍しく誉め言葉をもらえました(笑)。
施設・建設エンジニア
社会・環境ソリューション事業本部
M.K.
現場代理人として、
工事設計から施工、
調整まで幅広く担う。
社会・環境ソリューション事業本部
M.K.
前例のない設備設計を可能にしたのは、
技術力と綿密なコミュニケーション。
2021年に開催された世界的スポーツイベント。人生でも稀な自国開催の機会に、世界中の人が注目するメイン会場の建設に携わる。まさに国家プロジェクトと呼ばれる大仕事に関われるとあって、大きな誇りを感じました。
元請けのNECとともに取り組んだこの新規事業で、私は現場代理人を務めました。まずは提案準備として仕様書を入手し、お客様の要望とすり合わせて提案の詳細を詰めていきます。受注後は監理技術者のS.I.さんたち技術メンバーとともに、実際に現場で施工するための図面・検討書や、システムの仕様などを決める設計書を作成。その後、調達担当のS.T.さんの力を借りて機材や外注先を手配し、施工を行うという流れでした。
国内スタジアムで前例のない「360°ディスプレイ」を設置するために、品質を確保しながら効率良く作業を行うための施工設計は困難を極めました。社内のプロジェクトメンバーはもちろん、鋼材メーカー、作業責任者と何度も打ち合わせを重ねた結果、設計誤差や手戻りを発生させずに施工を完了できたことは喜ばしい実績です。世界的スポーツイベントの開会式では、選手の様子よりもリボンボードの方に注目していましたね(笑)。
調達
調達本部
S.T.
購買担当者の一人として、
材料や機器の手配・外注先の
選定に関わる。
調達本部
S.T.
最適な機器と協力先を得るため、
専門性・経験・人間関係をフル活用。
私たち調達本部のメンバーは、培った専門性や経験、人間関係を活かしてさまざまなプロジェクトに関わっています。今回の案件は複数の購買メンバーで取り組みました。
まずはM.K.さんが中心に設計したシステムの詳細に基づいて、工事で使用する材料や機器、施工に協力してもらう労務外注先の候補を選定し、建設チームに提示します。候補のなかから材料・機器・外注先を決定し、発注。工事完了後は、保守・追加工事を見据えて今後の持続的な安定調達の体制整備にも取り組みました。
希望する仕様を満たす部材の手配には苦労する局面も。専門性はもちろん、日々のやりとりを通じて連携を強化してきた取引先・メーカーからの提案支援に支えられ、壁を乗り越えることができました。その後の安定調達の整備についても、部門を超えた関係各所の協力によって問題を解決できました。
幾多の困難を乗り越えて設置完了されたリボンボードを目にしたとき、このプロジェクトに携われたことを改めて光栄に思い、感動しました。「また一緒に仕事をしたい」と思える人達に出会えたことを、とても嬉しく感じています。
Sammary
スタジアムソリューション
を加速させ、
「デジタルタウン」
の実現を目指す。
こうして、国内でも類を見ない大規模・全周型リボンボードが国立競技場に設置された。キーとなったのはディスプレイを搭載する架台の設計技術だ。ディスプレイそのものが曲がるわけではないため高精度な架台が求められる。壁の局面に沿ってミリ単位で角度を調整するという高度な設置技術も活きた。併せて、ディスプレイに表示するコンテンツを管理するための映像送信システムについても、国内初となる新たなシステム構成の実装に成功。設備面のコスト削減・省スペース化を実現した。このリボンボードシステムを創り上げるには、目で見える映像技術やIPネットワーク技術のみならず、電源設備、施工管理、建築設計、コンテンツ制作など、多岐にわたる技術力が必要とされる。そのすべてに対応できる実力を備えたNECネッツエスアイだからこそ、実現できたプロジェクトと言えるだろう。
本プロジェクトの成功により、もう1つの狙いであった市場内のアドバンテージ構築についても大きく前進。スポーツ庁が推進する「スタジアム・アリーナ改革」の動きに合わせて、当社ならではのスタジアムソリューションをさらに加速していく方針だ。それにより、まちづくりのDXを推し進める「デジタルタウン」事業の拡大を目指す。さまざまな社会課題の解決に向けたNECネッツエスアイの挑戦は続く。
【参考】
日本スポーツ振興センター様
YouTube動画
20190218 リボンボード設置工事
https://www.youtube.com/watch?v=2mQ3FHSzbMk