Space Solutions
小惑星探査機
「はやぶさ2」
運用支援・タッチダウン
プロジェクト概要
支援対象 | 宇宙航空研究開発機構(JAXA)様 |
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支援内容 | 小惑星探査機「はやぶさ2」の運用支援 (コマンド送信) |
プロジェクトの特長 |
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Introduction
「人類初」を成し遂げた
コマンダーたちの挑戦。
「リュウグウ」のかけらを地球へ。
星と生命の起源に迫る、遥かなるミッション。
「はやぶさ2」プロジェクトにおいても、探査機全体の設計・製造をはじめ、各サブシステムの設計・製造、搭載機器の供給、地上システム、運用技術支援をNECグループが担っている。600名からなるプロジェクトメンバーのおよそ半数をNECグループの社員が占めており、そのなかにはNECネッツエスアイの社員も含まれている。彼らは探査機に指令を届ける「コマンダー」として、JAXA相模原局で運用の最前線に立ったのだ。
Business Flow
プロジェクトの
一連の流れ

Members
担当者と
それぞれの役割
コマンダー
社会基盤システム事業部
K.F.
NESICメンバーのうち
最年少で文系出身ながら、
メインコマンダーを務める。
社会基盤システム事業部
K.F.
管制室にいる全員の思いを込めて、
タッチダウンの
コマンドを送信。
はやぶさ初号機が奇跡的な成功を納めたことで、「はやぶさ2」への世間の期待・注目度は打ち上げ前から非常に高まっていました。そんなビッグプロジェクトに参加するのは楽しみである反面、本当に私に務まるのかと強い緊張感も感じていました。
もっとも苦労したのは、やはりタッチダウンの運用です。着陸コマンドを送信する時は、プロジェクトマネージャの「GO」を受けて送信するのですが、管制室にいる全員の気持ちを全て乗せるつもりでキーを押したことを覚えています。
個人的に大変だったのは、緊張しがちな心を一定に保つこと。周囲の先輩やメンバーは緊張感が高まる場面でもユーモアを交えて粛々と仕事をこなす人ばかりだったので、その姿を見て肩の力を抜くようにしていました。
プロジェクトに携わるなかでは、技術者や学者の方々の並々ならぬ執念に心から魅せられました。一見すると無理なことや投げ出したくなるような事態にあっても、検証・議論を決して諦めず、何としてでも突破口を見つけ出す。その熱意と、いくつもの世界初の偉業に最前線で関われたことが、今後の私の人生にも非常に大きな影響を残してくれたと感じています。
コマンダー
社会基盤システム事業部
H.M.
コマンド運用チームのリーダー。
人材育成とチーム編成に取り組む。
社会基盤システム事業部
H.M.
プロジェクト成功のために、
メンバーの育成とチーム編成に注力。
打上げから地球へのサンプル投下までおよそ6年という長期にわたる本プロジェクトでは、コマンダーチームの人材育成とチーム編成が私にとっての大きなミッションでした。特に、目的である「リュウグウ」に到着すると、各国と協働して24時間体制で運用する体制に入ります。メンバーの休日なども考慮すれば、4名以上のコマンダーを育成する必要がありました。3億kmも離れた「リュウグウ」に到達するまでには3年半の時間的余裕があったので、段階的にメンバーを育成していきました。
今回のプロジェクトでは思い切った決断もしました。貴重な運用経験を将来にわたり当社の資産として受け継いでいけるよう、一番若手のK.F.さんをメインコマンダーに指名したのです。これには恐らくK.F.さん自身が一番驚いたと思います。衛星の運用を行うために必要な「第一級陸上無線技術士」の国家資格に、文系出身ながら努力して合格したことも指名した理由の一つです。K.F.さん自身は初めてのコマンド運用に挑戦したわけですが、経験者を軸としたOJTや現場チームのサポートを受けながら、メインコマンダーとして立派に成長してくれました。

Summary
高いコマンド運用技術の
共有に努め、
宇宙開発の未来に
貢献する。
※スイングバイ:天体の万有引力と公転運動を利用して、宇宙探査機などの運動方向と速度を変更する方法。