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2009年11月
南極越冬隊51次隊 金城良尚氏 出発直前インタビュー

インタビューを受ける金城氏


インタビューを受ける金城氏

出発前の金城氏①


出発前の金城氏①

出発前の金城氏②


出発前の金城氏②

やっと出発!期待と不安

Q いよいよ出発ですね。私個人的には49次、50次隊員の方々を一緒にお見送りしてきた金城さんが出発するということで感慨深いものがあります。
今の気持ちはいかがですか?
A

「やっと自分の番」という気持ちですね。
それでも2回お見送りをしているのでなんとなくまだ他人事のような気がします。
でも荷物の準備をしたり、他の隊員が家族とお別れしているのを見たりすると少しずつ実感してきました。南極に行けるということで楽しみな気持ちが大部分ですが、ちょっとだけ不安な気持ちもありますね。

Q 意外ですね。どのような点で不安なのですか?
A

一度も行ったことがない場所に行くという点ですかね。本当はそれが一番楽しみで、それがあるから公募もしたのですが、反面不安な気持ちもあります。
でもその不安な気持ちも含めて楽しんできたいですね。

スイーツ大好き

Q 出発前は3連休でしたがどんな風にして過ごしたのですか?
A

同期と食事に行きました。後は友人と2日連続ケーキバイキングに行きました。

Q (笑)やっぱり甘い物好きですね。南極では甘い物は食べられるのですか?
A

調理隊員が2人いて、聞いてみたら「何でも作れる」(スイーツも含めて)ということだったので食については全く心配していないですね。

準備は公用もプライベートも大変でした

Q 出発に向けての準備はどうでしたか?
A

公用の準備は業者さんも含めて行っているので多分抜けはないと思います。大変だったのは、今回しらせが新しくなり荷物の詰め込みシステムも新しくなったので極地研究所の職員も含めて初めてのことが多く確認事項が増えたことですね。

Q 新しらせは一般公開の際に私も見に行ったのですが今までのしらせより大きくなったような感じで、荷物も沢山積めそうでしたよね?
A

そうですね、しらせが新しくなって詰める荷物の量も増えたのですが(輸送可能物資が1,000tから1,100tに増えた)、輸送方法が今までのドラム缶での輸送からコンテナ輸送にガラっと変わったので詰め方や段取りを決めるのに時間がかかってしまいました。そのため期日ギリギリになってしまい大変でしたね。
私物の準備もOBから「大変だ」と聞いてはいたんですけどね。。。(苦笑)。

Q やはり大変でしたか(笑)。
A

大変でした。出発前にアパートを引き払ってトランクルームに自分の荷物を預けてきたのですが、全部片付け終わって、南極に持っていく荷物を背負ったらむちゃくちゃ重いんですよ。
未だに重いのですが他の隊員にシェアしてもらいました。段取り悪かったですね。。

Q 荷物の準備はみなさんの恒例の課題ですね。
A

そうですね。おそらく次の隊員も同じことを繰り返しそうです。引継書には書いておいたのですが、多分生かされないと思います(笑)。

Q 実感しないと分からないってことですね。
A

準備した時に初めて「そういえば金城の引継書に書いてあったな~」って思うんでしょうね。

自分と違う文化や様々な考え方を勉強したい

Q 金城さんが越冬隊員になりたいと思ったのは何がきっかけだったのですか?
A

就職するまで海外旅行に行ったことがなくて、入社説明会の時に「当社から仕事で南極に行っている人がいます」という話を聞いてその時は「そうなんだ~、すごい人がいるものだな」と単純に感心していました。海外も行ったことがない自分には無理だと思っていましたね。
でも放送システムの仕事で海外に一人で出張することが多くなり英語もできないのに何度も海外に行かせてもらっていました。一人で海外に行って仕事をする人っていうのは黙々と仕事をこなす職人のようなイメージがあったのですが、実際は現地には一人で行っても仕事は周りの人と協力しないとこなしていけないのだなと思った時に「もしかしたら南極もそうやって考えれば行けるのではないか!?」と思いました。
実際に文化や考え方の違う海外のお客様に会うと不安に思うこともあったのですが、「おっ、ここはそういう考え方なのか!」と発見することが楽しかったですね。
南極での仕事も同じ日本人の集まりとはいえ、全く違う職種の人達が集まっています。研究者の方もいるので、そういう方々には民間の企業で働いている私達とは全く違う文化があるのだろうなと思い、そういう事を知るのは楽しいだろうなと思って公募に手を上げました。

Q 当社から南極に行っている人がいるということはなんとなく頭に残っていたのですね。
A

そうですね。頭の片隅にはあったのですが、手を上げるまでにかなりの時間がかかりました。上からは「年齢的に遅すぎる」(手を上げるのが)と言われましたけどね(笑)。

たくさんの係を担当します!

Q 南極に行ってからはどのような仕事をするのですか?
A

歴代のOBと同じ仕事で、多目的大型アンテナと受信設備の保守、運用がメインです。他には、今回はしらせが新しくなって荷物も多く積めるということで気水圏の仕事でアンテナと受信設備を一新する仕事があります。

Q 今までにない新しい仕事があるのですね。何か準備をしましたか?
A

そうですね、「仮組み」ということで7月末から極地研究所の芝生の広場で何日間かかけて組み立てをして運用してみるという訓練をしました。

Q 南極に行くと隊員さんには色々な係を分担されるそうですが、金城さんは何係なのですか?
A

いくつかやらせていただきますが、1つは「娯楽係」です。係長になっています(笑)。

Q 主にどのようなことをするのですか?
A

イベントの段取り、アレンジをする係です。49次の熊谷さんも娯楽係長だったみたいです。イベントの企画もするので現地の状況を見ながら楽しいイベントを企画したいと思っています。
後は「理髪係」です。理髪のために専門の学校に行って訓練を受けてきました。
「喫茶係」も担当なのですが何をやるのかまだ良く分からないです(笑)。
あとは「AV(オーディオビジュアル)係」です。

楽器に挑戦したい!

Q プライベートで楽しみにしている事ややってみたい事はありますか?
A

まず南極で生活することを一番楽しみにしています。
あと、楽器に挑戦しようと思っています。楽器は音楽の時間でしかやったことがないのですが、今回一緒に越冬する医療担当の隊員が沖縄の西表島から来ていて、三線を弾けるそうなので教えてもらおうと思っています。南極で練習するために自分の三線も買ってしらせに積みました。

Q 三線買ったのですね!
A

上達すれば帰国後の報告会で披露できるかもしれません。

Q それは楽しみですね!
A

報告会で私がそのことについて触れなかったらうまくいかなかったのだなと思ってそっとしておいてください(笑)。

Q 最後にHPを見てくださっている方に意気込みやメッセージをお願いします。
A

この会社にいたからこそ与えられたチャンスだと思っていますので、歴代のOBの名を汚さないようにというような大それた事は言いませんが、与えていただいた貴重な機会に感謝して精一杯楽しんできたいと思います!

  ありがとうございました。頑張ってきてくださいね!