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気候変動への対応
1. TCFD提言に沿った情報開示
NECネッツエスアイは、2021年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画しました。サステナビリティ経営の推進と包括的で持続可能な社会の実現のために、 2023年6月に公表されたIFRSサステナビリティ開示基準 S2号(気候変動) (以降、IFRS S2(気候変動))を考慮した情報開示を進め、気候変動に関連するリスクの抑制と機会の創出・獲得に向けた活動に取り組んでいます。
NECグループとしては、2017年12月にSBT(Science Based Targets*)の策定にコミットし、翌年に認定を受け、さらに現在の目標についてSBTイニシアチブから「1.5℃水準」の認定を受けてカーボンニュートラルに向けた活動を推進しています。
*Science Based Targets:パリ協定が求める水準と整合した温室効果ガス排出量削減目標
2. ガバナンス
ガバナンスの役割とプロセス
NECネッツエスアイは、代表取締役執行役員社長(CEO)が委員長を務めるリスク・コンプライアンス委員会にて、気候変動対策を含むサステナビリティに関する戦略/施策検討・意見交換を実施しています。
サステナビリティ経営・気候変動への対応は、事業活動における経営戦略および意思決定において重要な課題であるため、環境方針を制定するとともに、自社の環境負荷・リスクの継続的な低減と事業を通じた社会の発展と貢献の拡大という両面から取り組みを行っています。
リスクの検討においては、適宜外部有識者等を交え、実施を行います。さらに当該委員会での討議結果を取締役会へ報告することで、当社の気候変動対策が適切に推進されるよう監督しています。
また、中央環境管理委員会は、委員長を環境担当役員が務め、中長期目標の策定や省エネに関わる投資などの環境経営推進上の重要事項について討議を行います。
気候関連事項の指標と報酬制度
当社では、取締役が企業の気候変動対策に関する目標の達成について、明確な責任を所有することを目的として、気候変動に関連した「温室効果ガス排出量」の削減割合を非財務の定量的な指標として用いることにより、役員報酬の一部に反映させる制度を設けています。当社では、当期に認識された役員報酬のうち、気候関連事項に関連している温室効果ガス排出量の削減割合を賞与への反映率(パーセンテージ)として明確に定めることにより、気候関連事項への取組みを役員報酬に反映しています。
3. 戦略
シナリオ分析
当社では、気候変動が事業に及ぼす影響の把握と気候関連のリスクと機会を具体化するために、下記の複数シナリオにおけるシナリオ分析を実施し、あわせてNECグループとして想定した国内の脱炭素シナリオについても参照し、自社の長期戦略における事業環境認識と照合、差異分析を行いました。
本シナリオ分析には、環境、企画、広報部門ならびに事業部門と連携し、全社にて議論を重ね進めています。
議論の結果、1.5℃~2℃シナリオにおいては、特に脱炭素社会への移行に向けた大胆な政策や技術革新が進められると予測しました。移行リスクについてはエネルギー価格の上昇や資材価格高騰、部材確保難などが顕在化すると分析しました。
4℃シナリオにおいては、基本的にリスクや機会は同様となるものの、大雨・洪水の多発や激甚化に伴う顧客設備復旧対応や障害発生頻度の増大などの物理リスクが相対的に高くなると考えられます。一方で、脱炭素化に向けた社会全体での温室効果ガス排出抑制・再生可能エネルギーへのニーズの高まりは、当社にとってカーボンニュートラルに貢献するさまざまなICTサービスを提供する機会につながると評価しました。
今回、それぞれのリスクの詳細と影響額、ならびにリスクへの対応とそれによる成長機会について、分析・評価した結果を報告します。
リスク及び機会が顕在化すると想定する時間軸
当社では、気候変動における1.5℃~2℃及び4℃のシナリオ分析に基づき、 IFRS S2(気候変動)を考慮した上で、短期・中期・長期のリスク・機会の抽出及び財務インパクトに対して、分析・開示を行っています。
【短期・中期・長期においてリスク・機会が顕在化すると想定される時間軸】
NECネッツエスアイにおける気候変動に関するリスク・機会は、当該事業年度から長期間にわたり、自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切な短期・中期・長期においてリスク・機会が顕在化すると想定される時間軸に基づきマイルストーンを検討することが重要であると考えています。
当社では、短期、中期、長期においてリスク・機会が顕在化すると想定される時間軸について、以下のように定め、政府による政策規制の導入及び市場ニーズの変化等の移行リスク、気候変動がもたらす異常気象等の物理リスク等及び各事業本部における機会の拡大項目の検討を行い、特定されたリスク・機会は、当社の戦略に反映し対応しています。
リスク及び機会がバリューチェーンに与える影響
気候変動に伴うリスクおよび機会が、当社におけるバリューチェーンに対して重大な影響を与えると予想される項目と影響について、以下のように考えています。
原材料調達から製造、流通、販売、保守またはソリューション・サービスの提供といった一連のバリューチェーンについては、それぞれの活動について企業におけるどのような付加価値の創造に貢献しているのか、競合に対する自社の強みや弱みはなかといった観点で把握し直すことで、要素ごとに気候変動におけるリスクと機会を明らかにし、事業戦略の見直しに役立てています。
項目 | ・購買活動:調達にともなう製品、部品、材料の仕入れ(移行/物理リスク) ・サービス:導入支援、保守・運用サービス等のアフターサービス、クレーム対応など(移行/物理リスク) |
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重大な影響 | ・重要インフラ設備、システムの運用障害、停止などによる社会への影響 ・顧客の重要システム、設備の運用障害、停止など市民生活、企業活動への影響 |
リスク及び機会に対する資源投下、緩和・適応への取組み
気候変動に関する主なリスク
気候変動に関する主な機会
機会の拡大に向けての人的投資計画の概要
当社では、各事業における気候変動に対応したビジネス機会の拡大を見込んだ上で投資を実施しており、今後も中期(2026)に向けて中核人材の採用および人材強化への投資を計画しています。
<機会の拡大に向けての投資の概要>
・事業本部における機会の拡大を目指した各事業部門の中核人材(経験者)採用への人材投資
・全社員のGX人材化を目指した各種人材育成研修および全社における人的投資の概要
移行計画
当社における移行計画の考え方は、シナリオ分析、リスク・機会と財務インパクト、指標と目標の開示および項目と相互に関連するものと捉えています。そのため、継続的なシナリオ分析のブラッシュアップにより、リスク・機会とその財務インパクトや、それに基づく移行計画についても見直し、変更をしています。
移行計画をTCFDおよびIFRS S2(気候変動)上の戦略における目標を実行するためのマイルストーンとして、社内全体の事業戦略に活かすことにより、今後における企業価値の継続的な向上に努めていきます。
気候変動問題に対し、以下の戦略における移行計画のカテゴリーに基づき、戦略の立案、GHG排出量の削減、低炭素経済への移行に着実に取り組んでいます。
気候関連の具体的なアクションプランに係る投資については、財務計画の項目に開示しています。
財務計画とシナリオ分析
移行計画をサポートする財務計画・予算及び関連する投資計画の目標(注1)及びシナリオ分析は、以下のとおりです。
4. リスク管理
大雨や洪水などの自然災害リスクなど、企業が考慮しなくてはならない脅威の範囲が広がっています。NECネッツエスアイでは、高度に変化する事業環境の中で、多様化するリスクを常に把握し、被害の最小化と事業継続の両面からリスク管理を行っています。
気候変動を含む重要リスクについては、リスク・コンプライアンス委員会を中心としたリスク管理体制にて抽出、管理を実施しています。
また、中央環境管理委員会において、経営戦略に基づく環境方針を適時見直しを行い、実施計画と社内への周知徹底を行います。
5. 指標と目標
1996年に環境方針を制定して以来、事業活動における継続的な環境負荷低減はもとより、環境に配慮した製品・サービスをお客様に提供することによって、社会全体の環境負荷低減に貢献し、持続可能な社会の実現のための活動を継続して実施しています。
NECグループの一員として、NECグループ環境経営目標である「NEC環境ターゲット2030」に沿って、2022年度にGHG排出量削減目標を設定しましたが、企業として気候変動対応への貢献を更に加速化、責務を果たすべく、カーボンニュートラルの実現時期を従来目標の2050年から2040年に10年前倒ししています。
Scope1、2においては、更に10年前倒しの2030年ゼロ・エミッションを目指し取り組みを進めています。
Scope3については、温室効果ガス排出量に占める割合が9割を占めることから、サプライチェーンへの働きかけを通じCO2排出量データの精緻化を進め、2040年カーボンニュートラルの実現を目指します。
温室効果ガス排出量削減目標(2020年度比) |
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2030年度 |
Scope1,2 |
実質ゼロ |
Scope3 |
50%削減 | |
2040年度 |
Scope3 |
実質ゼロ |