Breadcrumb navigation
ステークホルダー・ダイアログ 2016
NECネッツエスアイグループが果たす社会的責任についてご紹介します2016年ダイアログの概要
2015年に引き続きIIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者兼「ソシオ・マネジメント」編集発行人の川北秀人氏を迎えて、当社執行役員常務の新野哲二郎、執行役員の坂梨恒明、CSRコミュニケーション部と関係スタッフ部門長を交え、当社の事業活動とそれに関わるCSR活動についての対話(ステークホルダー・ダイアログ)を行いました。
開催概要
- 開催日 2016年5月26日(木)
- 場所 NECネッツエスアイ 飯田橋本社
- 出席者
社外有識者 川北 秀人氏
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者兼「ソシオ・マネジメント」編集発行人
NECネッツエスアイ参加者
新野 哲二郎 執行役員常務
坂梨 恒明 執行役員
古澤 尚人 法務コンプライアンス部長
佐藤 守信 人事部長
東内 章 経営システム本部長
矢次 茂 安全品質保証本部長
今井 茂夫 調達本部長
稲葉 誠一 CSRコミュニケーション部長
中條 貴美 CSRコミュニケーション部 課長
対話の概要
当社の経営状況について
執行役員常務 新野より以下を説明
・2016年3月期 実績概要
・2017年3月期 業績予想
・中期経営計画(~2019年3月期)
・当社CSRの考え方、取り組みの枠組み
(川北氏)
御社は今、事業構成、顧客構成等で変化が求められる時期を迎えられ、中期経営計画からは、公共領域や急増する訪日外国人観光者への対応といった、社会課題が凝縮された分野を成長の機会と捉え、社会課題解決型の事業を展開されていくことが理解できました。 その一方、自治体財政は厳しさが深刻化しており、各自治体のICT環境の充実については、必要性を感じながらも後回しにならざる得ないのではと強い危機感を覚えます。 こうしたことを踏まえると、ICT業界各社には、従来のビジネスモデルからの変革が求められると考えます。一例として、単価を下げても裾野の広い仕事を展開するといった選択肢もあるでしょう。 また、製造系の企業がサービス提供をする時代であり、サービスモデルの実験段階にあるものを、誰と組んで行うかということも 考慮する必要があるでしょう。 国際的な展開力のある会社と組んで、伸びしろの大きな国で、チャレンジングな事業領域を再設定することにも是非取り組んでいただきたいです。
CSRの取り組みについて
CSRコミュニケーション部長 稲葉より、前回ダイアログでの以下の指摘事項への対応状況について説明
・CSR調達への取り組み
・従業員の働き続けやすさ向上の取り組み
・お客さまや社会の生産性向上への貢献
・CSRの取り組みに関する社内啓発
(川北氏)
昨年、私が指摘した事項について、取り組みを進めていただきありがとうございます。 まず、CSR調達に関しては、来年にも「持続可能な調達」に関するISO20400が発行される予定ですので、取り組みのレベルアップが求められます。 それに伴い、今後は様々な場面でISO20400に基づく調達が行われることになります。納入される企業には、ISO20400に基づいて、持続可能な調達がマネジメント・システムとして構築されていることを要求されることになるでしょう。現在、御社でサプライヤーに対して自発的に働きかけをしている取り組みについても、マネジメント・システムとして確立し、PDCAを回し続けられるよう促さなければなりません。そのためには、まず、調達先の取り組みを評価する仕組みも必要となります。
(調達本部長 今井)
昨年のご指摘を受けて、当社グループとしての調達方針をかかげると共に、サプライヤーへCSR全般に関する項目についての取り組みの働きかけを始めています。当社の大きなリスクとなる安全品質や情報セキュリティについては定期的なモニタリングも実施しております。 しかしながら、現状として、調達先の評価はQCDが中心であり、各社のCSR全体の取り組みについて評価するところまでは至っていません。また、ハード製品の調達で言えば、推奨製品として特定された調達先は別にしても、それ以外の調達先については懸念が残ります。このような状況を踏まえると、「CSR調達」という観点で全体のマネジメントシステムを構築し、PDCAを回すには、相当の時間がかかるのではと感じています。
(川北氏)
優先度を決めて進めていくことですね。例えば取引額の大きいところから順に、何年ごろまでに、何割のサプライヤーの対応を確認します、といったロードマップを示した上で進めることが現実的であり、信頼度の向上にもつながります。 もう一つは、サプライヤーの改善努力を誉める仕組みです。すでに他社でも拡がりつつありますが、サプライヤーのCSR表彰等を設けて、受賞したサプライヤーを御社のウェブサイトで紹介するなどの取り組みを積み重ねていくと、サプライヤーの中で見本となる一定の水準ができて、推進のスピードも上がります。
(川北氏)
人的な多様性については、男性と女性の勤続年数の差について考えることも重要です。御社における現在の男女の勤続年数の差は、合理的な水準にあると言えるでしょうか。女性活躍推進という国の施策もありますが、しかし女性管理職だけを増やそうとして、現在の男性と同じ働き方をしてもらおうとしても、うまくいかない可能性が高いですね。 男女の勤続年数に違いがあるなら、その原因を分析し、合理的な水準まで引き上げるための具体的な施策を進めるのが先ですね。 これは、男女だけではなく、外国人でも障がい者でも同じです。雇用は人員数よりも、いかに長く活躍してもらうかが、社会的にも社内的にも重要な問題。人口減少社会だからこそ、勤続年数に着目した取り組みが重要です。
(人事部長 佐藤)
当社の場合、女性従業員の割合が現状全体の15%程です。さまざまな制度を設ける他に、女性の母数を増やしていく事によって、男性をはじめとする社内全体の意識を変え、結果として働き方に変革をもたらすよう取り組みを進めて行きたいと考えています。
(川北氏)
男女を問わず、勤続年数を伸ばすための方策の一つは、総労働時間管理です。昨年も生産性の向上についてお話ししましたが、やはり意思決定をいかに早く、そのプロセスをどう短くするかが重要です。時間の縮小や費用の削減を、御社がモデルとして、顧客にも業界にも示すことがとても大事ですね。一例として、会議にかかっている総時間を算出し、その効率化の効果を具体的に示すだけでも、大きな変化を促すでしょう。
(新野)
当社としても課題になっている項目の1つです。会議が多く、階層を重ねて決定される体制になっているため、階層を減らして、意思決定プロセスを効率化すべく今まさに動き始めたところです。これは、コスト削減だけでなく、機会ロス防止にもつながるものと考えています。
(川北氏)
障がい者の雇用について、勤続年数の観点からは、先輩の助言や体験談が有効です。先輩社員が出身校に出向き、後輩の方たちへ、御社の働き続けやすさについて具体的に伝えてもらうと共に、インターンを受け入れるという方法もありますね。 また、障がい者スポーツへの支援を行うことも、企業の認知度向上にもつながるものであり、検討していただきたいテーマです。
(佐藤)
当社では、視覚障がい者を、マッサージなどにより従業員の健康管理、疲労回復を行うヘルスキーパーとして雇用しており、後輩の皆さんに会社見学により先輩の活躍ぶりを見ていただく機会を設け、応募につなげることも行っています。 他に、説明会や面接会に行き、当社からPRしていくことで雇用を広げようとしています。そのような場で障がい者スポーツに取り組む方と面接をさせていただく機会もありましたが、採用にまでは至っていません。
(川北氏)
働き続けやすさを高める上で大きなテーマの一つである介護への対応についても、介護セミナーを継続され、その参加者数が多いこと(150名参加/年2回実施)に驚いています。
(佐藤)
これでも足りないのではと懸念しています。関西エリアは、自主的に要望があり開催しましたが、関西エリアの他、テレビ会議で中国、九州エリアの従業員も参加しています。従業員の関心が非常に高いということがこの2年間で分かりました。
(川北氏)
そのように自社の現状を把握していることは素晴らしいことです。さらに、今後も介護を要する人の数が増えることを考えると、従業員のご家族も参加できるセミナーを開催したり、介護を経験された従業員がどのようにして働き続けてこられたかを学ぶ体験談をセミナーコンテンツに追加するなど、ケーススタディを蓄積されることを強くお勧めします。この領域では、労働組合との連携も大切ですね。
(川北氏)
御社が社会にもたらす成果としての生産性向上に関しては、ケーススタディで構わないので、「社会の生産性をこれだけ上げられます」というエビデンスをもう少し開示しても良いのでは。 我々自身にもまだ答えがあるわけではありませんが、時間やCO2排出量の削減効果を示すことで、コストがこれぐらい削減できたという事は是非開示して欲しいですね。
また、EmpoweredOfficeの導入によって、お客さまや自社にプラスの価値をこれだけ提供できた、という仮説検証にも、ぜひ挑戦していただきたい。 「企業活動によってネガティブなインパクトを起こしません」というだけではなく、「ポジティブなインパクトを提供できます」という開示も大切です。 生産性向上という社会課題の解決に向けて、ICT企業は大きな貢献が期待される業界です。積極的な取り組みを期待します。
(新野)
何をもってKPIとするかの検討が必要です。 EmpoweredOfficeの効果測定については、社外の協力も得て取り組んでいます。我々が提供するもの以外の要素で左右されるところがあるため、個別の実例としての効果は示せるものの、一定のモデルに対してどのくらいの効果という示し方については、まだ研究中という段階です。社会の生産性向上にどう貢献できているかを示すことは、我々としても重視していますので継続して検討して行きます。
(坂梨)
本日はありがとうございました。 今年度は各施策担当部門の責任者も参加し、ダイアログをさせていただきました。本日いただいたご指摘を改善し、活動のレベルアップにつなげるため、関係部門と連携して施策を進めていきます。
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]
代表者兼「ソシオ・マネジメント」編集発行人 川北 秀人氏
昨年に引き続き、貴重な機会にお招きいただいたことに深くお礼申し上げるとともに、主要部門の責任者の方々にもご同席いただけたことを感謝したい。 繰り返しになるが、対話の中でも申し上げた通り、ICT分野の企業にとって、自社内での環境負荷削減や社会貢献への取り組みと同様、あるいはそれ以上に、働き続けやすさの向上、調達先におけるCSRへの取り組み推進の働きかけ、そして、自社とユーザーにおける生産性の向上は、CSRへの取り組みの中で最も重要性が高い課題である。 「当社にとってのCSRとは、(中略)企業活動全般で社会の課題解決に取り組み、世界と社会の持続可能な発展に貢献することです」という社長のお言葉通り、CSRの推進は、本社の主管部署ではなく、多様なユーザーやその顧客をはじめとする社会との接点を担う、営業やサービス、メンテナンスご担当の従業員の方々こそが、日常的かつ積極的に担うもの。であればこそ、「活き活きとしたコミュニケーションが行われる社会を目指し、安心・安全で信頼性の高いネットワークの構築のみならず、お客さまの目線に立った『これからのコミュニケーションをデザインする』ことで、お客さまの価値向上と、豊かな社会の実現に貢献していきたい」という貴社の思い・願いを実現するために、情報の安全はもとより、環境負荷の低減や人権への配慮・対応も、ユーザーやその顧客に対する品質保証の一環であることを改めて認識し、取り組みを進めていただきたい。
また、その取り組みは、自社内のみならず、取引先にも働きかけ、促す必要性が高まっている。取引先を含めたバリューチェーン全体での社会責任への取り組みを求める動きは、欧州を中心に高まり続けており、いよいよ来年には「持続可能な調達」に関する国際規格ISO20400も発行される。 2020年代を俯瞰すると、貴社のみならず業界も日本経済も、つまりユーザーもその顧客も、ますます海外へと拡がることが必至である以上、人的な多様性は、日本人の女性や障碍者だけでなく、多様な文化や価値を持つ人々が、経営層に提案やアクションを促すことが、ますます重要になる。「10年後には、どの地域で、どれだけのスキルを持つ人員をどれだけ確保し、育成するか」の戦略も問われている。社会の変化を受動的に追いかけるのではなく、見通しと意欲を持って、備え続ける戦略を持って、積極的に取り組みを進め続けていただきたい。