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2022年9月
地圏モニタリング業務について

Report:Kazutaka Mitsuno

場所:昭和基地

第63次隊の光野 和剛氏が、昭和基地から現地の様子をレポートしてくれました。

光野氏レポート

地圏モニタリング業務について

南極での観測は、研究テーマによって以下のように区分されています。

  • 宙空圏研究:磁場や宇宙、オーロラなどに関する研究
  • 気水圏研究:大気や水、氷床・雪氷などに関する研究
  • 地圏研究:地球規模の地震や地殻変動などに関する研究
  • 生物圏研究:極地での生態系に関する研究

南極地域観測では、研究に不可欠な観測データを継続的に取得するためのモニタリング業務があります。63次隊では地圏モニタリング隊員が欠員となったため、私が代行しています。そこで、今回は地圏モニタリング業務で観測している「地震計」と「重力計」について紹介します。

地震計

世界の各地で発生した地震による地震波は、ここ昭和基地にも到達しています。基地の地震計室に設置された短周期と広帯域の2種類の地震計で、それらを日々観測しています。それぞれ上下動・南北動・東西動の3成分の波形が取得されます。取得した波形データはインテルサット回線で日本の極地研究所に準リアルタイムで送信されて世界の研究者に向けて公開されています。

地震計


地震計

地震波形収録システム


地震波形収録システム

地震計波形データ


地震計波形データ
重力計

昭和基地内の重力計室には、超電導重力計という高精度の重力計が設置されています。この重力計は、ヘリウムをマイナス270℃程度まで冷却して液化することにより超伝導状態を生み出し、超伝導コイルで作られた磁場の上に超伝導球を浮かせて重力を測定する仕組みです。磁場と重力のバランスによって超伝導球の上下の位置が決まるため、重力が弱まれば上に浮き、強まれば下に沈む力が働きます。この際、上下の位置を変えないようにフィードバックをかけ、その電圧の変化量を出力することで重力値を測定します。

重力計室


重力計室

超伝導重力計


超伝導重力計

※ 掲載協力:国立極地研究所