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2021年12月
昭和基地への「しらせ」での船旅

Report:Kazutaka Mitsuno

場所:昭和基地

第63次隊の光野 和剛氏が、昭和基地から現地の様子をレポートしてくれました。

光野氏レポート

昭和基地への「しらせ」での船旅

第63次南極地域観測隊の光野です。
越冬隊として2023年1月末まで南極・昭和基地にて多目的アンテナの保守と地圏モニタリング観測支援を担当しますので、定期的にその様子をお届けしたいと思います。

2021年7月から国立極地研究所での勤務を開始し、様々な国内訓練を実施してきました。訓練内容は、担当業務のアンテナ保守だけでなく、他部門支援や重機の取扱の他、生活面に関する訓練など多岐に渡ります。新型コロナウイルスの影響で各種調整が難航しましたが、事前に予定していた訓練は概ね完了させることができました。

アンテナ保守訓練


アンテナ保守訓練

浮揚式UAV訓練


浮揚式UAV訓練

その後、2週間の隔離期間を経て、11月10日に横須賀から南極観測船「しらせ」に乗船し、昭和基地に向けて出港しました。例年だと観測隊員はオーストラリア(フリーマントル)までは空路となり、そこからしらせに乗船しますが、私たち63次隊も昨年にコロナ感染防止の緊急対策を行った62次隊と同様に日本からしらせに乗船することとなり、昭和基地まで40日近い船旅となりました。そのため、南下するにしたがい、赤道付近や極域付近の景観の違いを楽しむことができました。また、気温や湿度、日出・日入り時間、時差などが日々顕著に変わっていき、南極に向かっていることを実感しました。

南極観測船「しらせ」


南極観測船「しらせ」

しらせ乗船中


しらせ乗船中

12月1日に南緯55度を通過してからは、更に船の揺れが大きくなっていき、特に低気圧帯の通過時には立っているのが難しいほどの船の傾斜となりました。船酔いでダウンする隊員も数名いましたが、私は幸い平気でした。夜間には往路では珍しいオーロラも出現して全隊員で感動を共有することができました。
南極圏では周囲が一面氷で覆われ、すぐ近くにペンギンやアザラシが現れることもあります。氷で覆われているため、「しらせ」は一旦バックしてから勢いをつけた状態で氷を砕きながら進む「ラミング」と呼ばれる航法で進みます。甲板で見るラミングは迫力満点です。次第に日照時間が長くなっていき、最終的には全く沈まない白夜に突入します。真夜中でも明るいので、とても不思議な感覚になります。

南緯55度通過


南緯55度通過

南極圏に突入


南極圏に突入

昭和基地の目前まで到達した後、12月16日に海上自衛隊のヘリコプターに乗り、昭和基地に入りました。これまで昭和基地で越冬していた前次隊(62次隊)に迎えていただき、私も彼らから昭和基地を引き継いで1年間頑張ろうと決心したのを覚えています。昭和基地での生活は日本国内では体験できない様々な経験ができると思いますので、自らの成長や観測隊としての成功に向けて努力していく所存です。

海上自衛隊のヘリコプター


海上自衛隊のヘリコプター

昭和基地に到着


昭和基地に到着

※ 掲載協力:国立極地研究所