2016年5月

第57次隊 田村氏からの現地レポート

Report:Yoshitaka Tamura

場所:昭和基地

第57次隊の田村 芳隆氏が、昭和基地から現地の様子をレポートしてくれました。

田村氏レポート

♦ レスキュー訓練

「極夜」(一日中太陽が昇らない時期:5月下旬から7月中旬まで)が明けると基地から出て野外観測が始まります。 スノーモービルや雪上車で海氷上を移動し、南極大陸の内陸や沿岸地域で観測を行ないます。
大陸、海氷には危険がたくさんあります。海氷の割れ目(クラック)、 風によってできる溝(ウィンドスクープ)、氷河の割れ目(クレバス)などです。
万一、野外で救助が必要になった場合、越冬隊員30人で解決しなくてはなりません。 そのために行うレスキュー訓練はとても重要な訓練です。ロープワーク(ロープの結び方)や クレバスに落ちた際の救助方法等を覚えなくてはなりません。レスキュー隊のリーダー、 サブリーダーをはじめ隊員全員が参加するとても大切な必須訓練です。
外にできたウインドスクープを利用したり、天候が悪いときは屋内で訓練を行います。


ウンイドスクープを利用した救助者引き上げ訓練

♦ 鯉のぼり

5月といえば、「端午の節句」。
昭和基地でも鯉のぼりが上がりました。吹く風がちょうどよく、鯉たちは元気に泳ぎました。 その他に、生活の中心となっている管理棟の入り口と隊員が食事やミーティングなどで集まる食堂に兜を飾りました。 食堂に飾られた兜は、第7次隊から継承されていると言われています。


昭和基地を泳ぐ鯉のぼり

第7次隊が持ち込んだとされる兜

♦ 大空を舞うオーロラ

この時期になると急に日照時間が短くなってきていることに気がつき、気温も下がってきます。 冒頭にお話ししたように太陽が昇らない極夜期がすぐそこまで来ている感じを受けます。 参考までに、5月5日の日の出時刻は9時23分、日の入時刻は15時13分、最高気温は-12.3 ℃、最低気温は-20.6℃でした。
暗く、気温も下がってきたこの時期に、私達を楽しませてくれるのがオーロラです。
雲がなくその他の条件がそろった日には、冷たい南極の大空に繊細かつダイナミックに舞踊る姿を見せてくれます。
見とれてしまう隊員、しきりにカメラのシャッターを切る隊員等それぞれですが、大空に舞踊るその姿には圧巻です。
そんなオーロラも素敵ですが、ここ南極は空気が澄んでいることもあり星空に感動を受ける隊員も私だけではないと思います。 満点の星空とはこのことかと思うほどに綺麗です。
これから極夜期に入り寂しくなりがちですが、天体の写真撮影などを楽しみながら過ごしていきたいと考えています


アンテナレドームとオーロラ

出発から今日までのレポートをお送りさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
次回は、業務、生活面のお話をもう少し付け加えたレポートをお送りしたいと思いますのでどうぞお楽しみに。