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2022年11月
南極越冬隊62次隊 戸塚慎介氏 出発直前インタビュー

心境・準備

Q 南極観測隊員に応募した動機は。
A

新入社員の頃、南極地域観測隊の経験者と話す機会があり、南極の壮大な自然環境や、約30人での越冬生活の話を聞いている内に越冬隊の魅力を感じ、いつか自分も行ってみたいと感じるようになりました。衛星関係のスキルは、所属していた部署の先輩方にご指導頂いていたので、私でも越冬隊員になれるのではないかと思い、チャレンジしました。

Q 家族・同僚からどのような言葉をかけられましたか?
A

妻からは、試験を受けるか考えていた時には「いってきなよ」と後押しをしてもらい、南極地域観測隊員に決まったときには「よかったね」と言ってもらいました。実は子供が小さく(3歳と0歳)、「家を離れる」というのは家族にとって負担になるのですが、それを知ったうえで送り出してくれた妻には感謝しています。
南極地域観測隊の経験者の方がいた部門に所属していたので、同僚はすんなりと受け入れて「気を付けて」というコメントをいただきました。コロナ禍の影響もあり、友人などには会う機会が少なかったのですが、伝えた友人からは祝福の言葉をいただきました。

南極での仕事・生活について

Q 南極ではどのようなお仕事をするのですか?
A

多目的衛星受信システム・アンテナの運用・保守がメインの仕事です。VLBI(超長基線電波干渉法、注1)の観測に使用するので、観測者と共に観測や補助をします。それ以外にも、無人航空機の制御や操作、HFアンテナのメンテナンスのための高所作業など、もともとの業務に加えて全般的に作業の支援を行う予定です。今まで対応してこられた先輩方や、これからの南極地域観測隊員になるかもしれないNECネッツエスアイの後輩たちが、誇れるようになりたいと思います。

(注1)VLBI(Very Long Baseline Interferometry)
数十億光年の彼方にある電波天体からの電波を、地球上の複数地点で受信し、到達時刻の差から相互の位置関係を宇宙を基準に割り出す。

Q 南極でやってみたいことは?
A

越冬隊には日々の生活にメリハリを付けるため、係活動というものがあり、その中で私は農協係(注2)というのを担当しております。今年はオーストラリアでの補給がないため、例年より生野菜の持ちが悪いことが想定されるので、少しでも新鮮な野菜を提供できればと思っています。
あと、調理隊員の料理の腕を盗むことです。当番で食事の手伝いをするのですが、それ以上に調理の現場を見て、手伝うことで料理のスキルを上げて、妻へのお土産にしたいと思っています。機会があれば「南極くらぶ」(注3)ででも披露できればと思っています。

(注2)環境省で事前に許可を得て、昭和基地では農協係が中心となり基地内の決められた場所で野菜の水耕栽培を行っています。

(注3)南極くらぶ:当社が青少年育成支援の一つとして行っている出前授業

抱負・決意

Q いよいよ南極に向かうわけですが、今のお気持ちは?
A

いろいろなイレギュラーがある中、出発まで漕ぎつけて、「ホッ」としているというのが1番です。
(取材当時は)あと、出発直前のPCR検査があるので、その検査が無事に通ることを祈って、ドキドキしています。(「しらせ」乗船までに隊員の方は合計3回PCR検査をおこなったとのことです。戸塚隊員も無事に最後の検査を陰性で通過しました。)
コロナ禍の影響で例年予定していた各種のイベントがなくなり、隊員同士が事前にコミュニケーションを取る機会が少なかったのですが、普段より長い「しらせ」の時間でしっかりと関係を作りたいと思っています。

Q 最後に、このサイトを見てくれている皆さんに一言。
A

NECネッツエスアイの一員として、「次世代に繋がるよう」しっかりと職務を全うしてきます。