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2025年1月
輸送と引継

Report:Misaki Shimizu

場所:昭和基地

第65次隊の清水 岬氏が、昭和基地から現地の様子をレポートしてくれました。

清水氏レポート

輸送と引継

輸送

夏期間前半の仕事の1つに輸送があります。
輸送には持ち帰りと持ち込みの2種類があります。
持ち帰りでは主に越冬を通して出たゴミや国内で修理することになった機材等を昭和基地からしらせに輸送します。
持ち込みでは主に越冬に必要な燃料や食料、観測や設営作業に必要な機材をしらせから昭和基地に輸送します。
輸送の方法としては大きく2種類あります。
1つ目は荷物を橇に乗せて雪上車で引く方法(氷上輸送)です。
この方法では海氷上を走る必要があります。
そのため、海氷状況が一番良い(気温が低く、より海氷が締まっている)夜間に実施されます。
氷上輸送では主に冷凍食品を入れた冷凍コンテナや建築資材等の大型の荷物を輸送します。
2つ目はヘリコプター(CH)を用いた方法(空輸)です。
ヘリコプターでは主に氷上輸送が必要な大型物資以外を輸送します。
輸送作業が無事に完了しないと次隊が越冬できなくなってしまいます。
また、冬の観測や基地の維持だけではなく夏の観測もできなくなってしまうため、
輸送は観測隊として非常に重要な仕事です。
この輸送作業は越冬隊全員で役割分担をして実施します。

深夜の氷上輸送の様子

深夜の氷上輸送の様子

更新作業

夏期間後半の仕事の1つに引き継ぎや更新作業があります。
正確には夏期間前半から夜間等の隙間時間に担当業務の引き継ぎを実施します。
次隊に長年引き継いでいるバトンを渡すため、専門的な内容だけではなく基地の維持に必要な南極特有の物事(除雪やブリザード対応等)も引き継ぎます。
また、夏期間は雪が少なく暖かいので各機器や建屋の更新や補修、点検を実施します。
夏が終わると雪や氷に覆われてしまうため夏期間にしかできない作業です。
担当部門だけではなく停電対応や水槽清掃、消防訓練等の基地を維持する上で必要なことを短期間で全て引き継ぎます。
夏期間はどの部門も人手が足りていません。基本的に各専門家は1人しかいません。大規模な業務も多いことからお互いに支援し合い、助け合い夏オペレーション成功と次隊の越冬成立を目指します。

多目的アンテナの引継ぎの様子

多目的アンテナの引継ぎの様子

夏期間の衛星受信棟

夏期間の衛星受信棟

 

※ 掲載協力:国立極地研究所

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